棚卸資産の評価に関する会計基準

はじめに

棚卸資産の評価に関して、我が国では企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」が平成18年7月5日付で公表され、平成20年4月1日以後開始する事業年度から適用されています。棚卸資産の評価に関しては、従来より原価法と低価法の選択適用が認められておりましたが、当該会計基準の導入により通常の販売目的で保有する棚卸資産については取得原価をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照価額とするように規定されました。当社では当該会計基準の導入に伴う正味売却価額の算定にあたり貴社をサポートさせて頂きます。

対象資産

本会計基準の適用対象となる棚卸資産は、商品、製品、半製品、原材料、仕掛品等の資産であり、企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、売却を予定する資産のほか、売却を予定しない資産であっても、販売活動及び一般管理活動において短期間に消費される事務用消耗品等も含まれています。(本会計基準第3項)
ここで注意して頂きたいのが、棚卸資産の中には販売用不動産も含まれることはもちろんのこと、未完成工事支出金等、注文生産や請負作業についての仕掛中のものも含まれているということです。
但し棚卸資産であっても、他の会計処理により収益性の低下が適切に反映されている場合には、本会計基準の定めを適用する必要はありません。また企業が営業目的達成のために所有し、かつ売却を予定する資産であっても、金融商品会計基準に定める売買目的有価証券等、他の会計基準において取り扱いが示されているものについては、該当する他の会計基準の定めによることとされ本会計基準の適用はございません。

本会計基準の概要

まずは以下のフローチャートをご覧頂きたいと思います。

(A)開発が完了した不動産に該当する場合

開発が完了した不動産とは開発が完了して、現に販売中であるか販売計画中の不動産をいいます。具体的には、新築住宅、一棟のマンション、一棟の新築ビル、新築マンション、新築ビルの特定フロアー、造成後の分譲地などがこれに該当します。この際の正味売却価額は販売見込額から販売経費等見込額を控除することにより求めます。その際、当社では原則的時価評価(鑑定評価書)で対応させて頂きます。但し、以下の場合にはみなし時価評価(「意見書」等)で対応させて頂きます。

  1. 重要性が乏しいものと確認された不動産の時価を求める場合
  2. 大規模分譲地内に所在する複数の画地又は一棟の区分所有建物に所在する複数の専有部分等価格形成要因の大半を同じくする複数の不動産のうち、代表的と認められる一の不動産について原則的時価評価を行う場合において、当該一の不動産以外の不動産の時価を求める場合

正味売却価額 = 販売見込額 - 販売経費等見込額

(B)開発を行わない不動産に該当する場合

開発を行わない不動産とは、貴社自らが開発計画をもたない不動産又は貴社自らが開発を行うことができない不動産をいい、転売目的で取得した不動産、開発の実現性が無いと判断した不動産、開発は可能であるが貴社自らが費用をかけて開発を行うよりも現況のまま売却した方がよいと判断された不動産がこれに該当します。具体的には、中古住宅、一棟の中古マンション、中古ビル、更地等かなり広範囲のものを含んでいます。
こうした開発を行わない不動産のなかには、当初は開発を行う目的で取得したものの、経済情勢の変化等により開発が不可能となった不動産も含まれます。
上記のような開発を行わない不動産の場合には(A)の場合と同様に原則的時価評価又はみなし時価評価で対応させて頂きます。

正味売却価額 = 販売見込額 - 販売経費等見込額

(C)開発後販売する不動産に該当する場合

開発後販売する不動産とは、開発の実現性はあるものの未だ開発が行われていない不動産、開発が進行中の不動産等をいいます。具体的には、建物及びその敷地、更地等が想定されます。この際の開発事業等支出金の正味売却価額は、完成後販売見込額から造成・建築工事原価今後発生見込額及び販売経費等見込額を控除することにより求めます。
ここで注意して頂きたいのが、(C)に該当する場合には「正味売却価額」ではなく、「開発事業等支出金の正味売却価額」という表記になっていることです。このようになっているのは、現時点ではまだ販売用不動産という商品が開発されておらず、したがって、現時点までの当該事業に対する投資額の正味売却価額を求める方法によらざるを得ないからです。当社が鑑定評価を行う際には、開発後販売する事を前提として、現況による鑑定評価を行い、原則的時価評価またはみなし時価評価で対応させて頂きます。

開発事業等支出金の正味売却価額 =

完成後販売見込額 - (造成・建築工事原価今後発生見込額 + 販売経費等見込額)