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固定資産の減損に係る会計基準
はじめに
企業が保有する不動産について、将来における収益性の低下を帳簿価額に反映すべきという観点から、「固定資産の減損に係る会計基準」が企業会計審議会から平成14年8月9日付で公表され、その後企業会計基準適用指針第6号「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」が企業会計基準委員会から平成15年10月31日付で公表(最終改正平成21年3月27日)され、2006年3月期から強制適用となり、また、中小企業においても「中小企業の会計に関する指針」において固定資産の減損が求められるようになってきております。当社では「固定資産の減損に係る会計基準」の適用に伴う減損損失の兆候の把握から、正味売却価額の算定等多岐にわたりサポートさせて頂きます。
対象資産
同会計基準の適用対象となる資産は、会計上、固定資産に分類される資産(有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産)となります。但し、以下に挙げる資産については他の基準に減損会計に関する定めがあることから、同会計基準の適用対象から除外されています。
減損会計の手順
まずは、以下のフローチャートをご覧頂きたいと思います。

(A)減損の兆候について
「減損の兆候」とは資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象という意味で用いられています。同会計基準においては、減損の兆候として以下のようなものが掲げられています。
この4つの事象の内、私ども不動産鑑定業者がお手伝いすることができるのが、④資産又は資産グループの市場価格が著しく下落した場合の判定です。「市場価格」とは市場において形成されている取引価格、気配、または指標その他の相場(金融商品会計基準第6項)と考えられており、いわゆる実勢価格や査定価格などの評価額や、土地の公示価格や路線価など適切に市場価格を反映していると考えられる指標が容易に入手できる場合には、それらを減損の兆候を把握するための市場価格とみなして使用し、減損の兆候があるものとして扱うことが適切であると考えられています。容易に入手できる土地価格指標としては、公示価格、都道府県地価調査基準地価格、路線価による相続税評価額、固定資産税評価額があります。また、実勢価格や、査定価格なども利用できるとされているため、当社ではこのような場合に「意見書」等で対応させて頂き、減損の兆候の判定のサポートをさせて頂きます。
なお、「市場価格が著しく下落したこと」とは、少なくとも市場価格が帳簿価額から50%程度以上下落した場合がこれに該当する(適用指針第15項、第89項)とされています。
(B)減損損失の認識の判定
減損損失の認識の判定とは減損の兆候がある資産又は資産グループについて、これらが生み出す割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較し、後者が前者を下回る場合に減損損失を認識することをいいます。このような考え方が適用された背景には割引前将来キャッシュフローの総額が帳簿価額を下回るときには、減損の存在が相当程度に確実である考えられているからです。また、割引前キャッシュフローを見積もる期間については、資産の経済的残存使用年数または資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とされています。
なお、割引前キャッシュフローが帳簿価額を上回る場合(Cの場合)には当該会計基準の適用はございません。
(C)適用不要
減損の兆候が認められない場合は、固定資産の減損に係る会計基準は適用不要となります。
(D)減損損失の測定
(B)で減損損失が認識された場合は減損損失の測定を行います。ここで、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額が資産の回収可能価額とされています。その理由は、企業の経営者は資産又は資産グループに対する投資額を、資産の売却又は使用のいずれかの手段によって回収するという考え方が背景にあるためであるとされています。当社では、正味売却価額の算定にあたり、サポートさせて頂きます。正味売却価額とは資産又は資産グループの時価から処分費用見込み額を控除して算定される金額をいい、時価とは公正な評価額であり、通常以下のものをいいます。
②市場価格が観察できない場合の合理的に算定された価額として不動産については、鑑定評価基準に基づく方法により求められた価格を適用する事とされております。当社では①、②の場合にあたり、鑑定評価書で対応させて頂きます。(ただし、重要性が乏しいと判断された資産については「意見書」等で対応させて頂くことも可能です。)
なお、使用価値とは資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュフローの現在価値をいいます。
減損損失の開示
以上の手順を踏んで認識・測定された減損損失は、貸借対照表には原則として、減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除し、控除後の金額をその後の取得原価とする形式で行います。また、損益計算書においては原則として特別損失として表示します。また、重要な減損損失を認識した場合には、減損損失を認識した資産、減損損失の認識に至った経緯、減損損失の金額、資産のグルーピングの方法、回収可能価額の算定方法等の事項について注記します。
減損損失計上のメリット
減損損失を計上した結果として、企業の方々がご関心があるのが、法人税が安くなるか否かであると思います。確かに財務諸表上は特別損失として計上されるのですが、税務上は災害等の一定の場合以外は固定資産の簿価を減額しても減額部分を損金算入する事は認めていないので、残念ながら税務上は減損損失は否認されることとなります。従って、減損損失を計上しても法人税は安くなりません。但し、減損損失も減価償却同様の当該資産に関する費用処理の一形態としていえるため「償却費として損金経理した金額」として扱うことが考えられます。よって、過年度に当該資産について償却超過による加算調整した額があった場合には税務上の償却限度額の範囲内で損金算入が認められることが考えられます。この結果として、繰延税金資産が計上される可能性があります。
法人税等の関係では上記のような結果となりますが、減損損失を計上することによって企業の利害関係者に対して適切な情報を提供できることが一番のメリットであると考えます。